2008年06月07日

山本弘『MM9』(東京創元社)

MM9MM9
山本 弘
東京創元社 2007-12

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★★★★☆
地震、台風などと同じく自然災害の一種として“怪獣災害”が存在する現代。有数の怪獣大国である日本では、怪獣対策のスペシャリスト集団「気象庁特異生物対策部」、略して「気特対」が日夜を問わず日本の防衛に駆け回っていた。
多種多様な怪獣たちの出現予測に正体の特定、そして自衛隊と連携するべく直接現場で作戦行動を執る。世論の非難を浴びることも度々で、誰かがやらなければならないこととはいえ、苛酷で割に合わない任務だ。それぞれの職能を活かして、相次ぐ難局に立ち向かう気特対部員たちの活躍を描く、本格SF+怪獣小説!
(カバー見返し紹介文より)

期待して読んだ山本氏の新作(でも出てから半年積んでました……)。
ちなみにタイトルの「MM」は「モンスター・マグニチュード」の略で、怪獣の規模を表す単位。怪獣小説というものがほとんど見られない現状を鑑みれば、クオリティは充分高いので星5つでもイイ気がします。
毎度のことながら、一見バカバカしいことを真面目に考察し、エンタテインメント作品に仕上げてくるというこの著者の才能は素晴らしいです。
そして今作に出てくる架空理論は「多重人間原理」。これも毎度のことですが、こういう土台をしっかり作ったうえで大法螺を吹いてくれる所がたまりません。
個人的には期待値以上のカタルシスが得られなかったのは残念ですが、それでも楽しく読めました。

ところで著者本人のサイトにある内容紹介に、こんな記述がありました。

僕らより下の世代、80〜90年代あたりに子供時代を送った世代と話していて驚いたのは、彼らにはそもそも『ウルトラ』シリーズや怪獣ものに対する思い入れがまったくない、ということだ。実物を見たことがなく、怪獣やウルトラマンに関する知識は『空想科学読本』のみだったりするわけで(笑)、「怪獣=バカバカしい」というイメージをすりこまれているようなのだ。

まさに自分はこの時代に少年期を過ごした世代です。
特撮オタではありませんが、一応ウルトラマンシリーズは(『マン』〜『タロウ』あたりまで)多少ビデオで見ていたし、平成ゴジラシリーズも見ていたので「『ウルトラ』シリーズや怪獣ものに対する思い入れがまったくない」わけではないのですが、同年代の友人らと特撮について話すと、僕らの世代が圧倒的に「知らない」ことを実感します。怪獣特撮モノ直撃世代との断絶は大きいですね。

怪獣なんてバカバカしい? だったら巨大ロボットだって超能力だってタイムスリップだって日本沈没だってバカバカしいだろう!? バカな設定を真剣に書くからこそ面白いのではないか?

この意見には喝采を送りたいです。まさにこれこそがSFの醍醐味ですから。
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伊坂幸太郎『重力ピエロ』(新潮社/新潮文庫)

重力ピエロ重力ピエロ
伊坂 幸太郎
新潮社 2006-06

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★★☆☆☆
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。
(表4カバー紹介文より)

ハードカバーで出たのが2003年――5年前。当時、大型書店にてPOP付きで平積みされていたのを覚えています。タイトルのセンスとカバー写真が映えていたので、買ってもいないのにずっと印象に残っていました。
そして今回、文庫版を入手したので読了。
文体は軽くリズム感があり、弾むような感覚。しかし内容は……これ、短編で充分な気がするのですが。
ストーリーにあまり関係ないようなエピソードを色々読まされて困惑。
衒学趣味という感じでも無さそうですし、いまいち最後まで乗り切れませんでした。
文体や構成は普通でいいからもっと物語のある作品が好きという、自らの嗜好は再確認できましたが。
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米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』(東京創元社/創元推理文庫)

夏期限定トロピカルパフェ事件夏期限定トロピカルパフェ事件
米澤 穂信
東京創元社 2006-04-11

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★★★★☆
小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を! そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは〈小佐内スイーツセレクション・夏〉!? 待望のシリーズ第二弾。
(表4カバー紹介文より)

連作短編がひとつの長編物語を成すような構成は前作『春期限定いちごタルト事件』と変わらず。そして薄さも変わらず。実に完成度が高く、それでいて前作の魅力も損なうことのない続編に仕上がっています。面白い。
個人的には「シャルロットだけはぼくのもの」が秀逸でした。
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米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』(東京創元社/創元推理文庫)

春期限定いちごタルト事件春期限定いちごタルト事件
米澤 穂信
東京創元社 2004-12-18

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★★★★☆
小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか? 新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。
(表4カバー紹介文より)

知人とのやりとりの中に出てきたので読んでみました。
連作短編がひとつの物語を成すような構成で、軽妙な語り口、人の死なない物語、キャラの立ち加減、実に生き生きとしていて好感が持てます。
加えてこの薄さ、実にお手軽、そして面白い。
確かにライトノベル好きな層には受けているのだろうな、と納得。
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東野圭吾『幻夜』(集英社/集英社文庫)

幻夜幻夜
東野 圭吾
集英社 2007-03

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★★★★☆
阪神淡路大震災の混乱の中で、衝動的に殺人を犯してしまった男。それを目撃した女。二人は手を組み、東京へ出る。女を愛しているがゆえに、彼女の指示のまま、悪事に手を染めてゆく男。やがて成功を極めた女の、思いもかけない真の姿が浮かび上がってくる。彼女はいったい何者なのか?! 名作『白夜行』の興奮がよみがえる傑作長編。
(表4カバー紹介文より)

『白夜行』の姉妹編ですが、こちらはストーリーの進行視点が主人公の内面に踏み込んでいます。
おかげで男性読者を女性不信に陥らせるかのような重い読後感を残すことには成功しているのですが、その分ウェットになっている感は否めません。
そして物語のキーとなる阪神淡路大震災の描写がやや甘いような。
現時点で著者の最高傑作は『白夜行』だと思っているので、この作品は楽しめましたがちょっと残念な気も。
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犬村小六『とある飛空士への追憶』(小学館/ガガガ文庫)

とある飛空士への追憶とある飛空士への追憶
犬村 小六
小学館 2008-02-20

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★★★★☆
「美姫を守って単機敵中翔破、1万2千キロ。やれるかね?」レヴァーム皇国の傭兵飛空士シャルルは、そのあまりに荒唐無稽な指令に我が耳を疑う。次期皇妃ファナは「光芒五里に及ぶ」美しさの少女。そのファナと自分のごとき流れ者が、ふたりきりで海上翔破の旅に出る!?――――圧倒的攻撃力の敵国戦闘機群がシャルルとファナのちいさな複座式水上偵察機サンタ・クルスに襲いかかる! 蒼天に積乱雲がたちのぼる夏の洋上にきらめいた、恋と空戦の物語。
(表4カバー紹介文より)

舞台が空の話ということで惹かれ、久々に知らない作家のライトノベルを手に取ってみました。
描写を頑張っているのは高評価。
物語を成立させるための設定に過不足がなく、話運びも構成も王道、作者の見せたいシーンもきちんと描かれ、ラノベのお手本のような話でした。
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2008年05月30日

チャールズ・ストロス『シンギュラリティ・スカイ』(早川書房/ハヤカワ文庫SF)

シンギュラリティ・スカイシンギュラリティ・スカイ
チャールズ・ストロス 金子 浩
早川書房 2006-06

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★★★★☆
「わたしたちを楽しませてくれますか?」ある朝、新共和国の辺境惑星ロヒャルツ・ワールドに降りそそいだ携帯電話から聞こえてきた不思議な声は、住民の語る「物語」と引き換えに、3つの願いをかなえはじめた……お金、自転車、家、核融合爆弾……それがどんな願いでも。かくて惑星社会は大混乱に。この事態を「侵略」と決めつけた新共和国皇帝は、ただちに攻撃艦隊の派遣を決定したが……。英国SF期待の新星が放つ衝撃作。
(表4カバー紹介文より)

ヴァーナー・ヴィンジの言う「技術的特異点(シンギュラリティ)」を扱ったSF。
昨年参加したワールドコンでの企画「SF軍事解説」(参考:ワールドコン日記2)で話題に上がっていながらずっと未読だったのを、ようやく読了。
ストロスの作品は『SFマガジン』に載った短編「ロブスター」が好印象だった記憶があるので期待して本書を開いたのですが、非常に面白い冒頭のテンションを最後まで維持できていなかったのが残念。
ただ、宇宙艦隊の戦闘描写などは気合が入りまくっていてポイント高し。アイディアとガジェットの豊富さは素晴らしかったです。
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有川浩『阪急電車』(幻冬舎)

阪急電車阪急電車
有川 浩
幻冬舎 2008-01

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★★★★★
そのあらすじから真っ先に井上夢人『99人の最終電車』を連想してしまったのですが、まあそれはそれ。
厚さといい内容といい、有川浩作品を薦める際の1冊目に丁度いい作品なのかもしれない、とか思いました。
それにしても、僕はいつの間にこんな恋愛成分が多量に入った小説を読む人間になってしまったんだろうか……あーもう、面白ぇなあorz
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有川浩『別冊 図書館戦争』1巻(アスキー・メディアワークス)

別冊 図書館戦争 1別冊 図書館戦争 1
有川 浩
アスキー・メディアワークス 2008-04

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★★★★★
内容についての事前情報を仕入れずにあとがきも読まずに開いたら、予想を遥かに超えたベタ甘な恋愛成分に満ち溢れる攻撃を食らいまくって死亡。そうか、そうきましたか。
……うー、あーもう、面白ぇなあorz
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有川浩『図書館革命』(メディアワークス)

図書館革命図書館革命
有川 浩
メディアワークス 2007-11

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★★★★★
余裕が出来たら真っ先に読もうと思っていた小説がこれ。半年も積んでいましたが、ようやく読めました。
意外な冒頭から始まり、キャラの立たせ具合や物語の着地のさせ方は完璧かと。実に上手い。
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2007年08月20日

佐藤亜紀『天使』(文藝春秋/文春文庫)

天使天使
佐藤 亜紀
文藝春秋 2005-01

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★★★★☆
タイトルと著者名を見て、日本SF大賞候補作(第24回)だったのを思い出したので入手。
第一次大戦前夜のヨーロッパ、オーストリアを中心とした舞台で、異能者ばかりを集めた諜報組織の一員となった主人公ジェルジュの話。
いわゆる超能力モノで、味わい深い文体とともになかなか面白く読めました。姉妹作『雲雀』も文庫化されているようなので読んでみよう。
平成14年度芸術選奨文部科学大臣新人賞(文学部門)受賞作。
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恩田陸『六番目の小夜子』(新潮社/新潮文庫)

六番目の小夜子六番目の小夜子
恩田 陸
新潮社 2001-01

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★★★☆☆
どうにもジャンル分けが難しいのですが、たぶん「青春小説」というのが妥当なところか。
もうちょっとファンタジーなりミステリなりホラーなりに寄っているものかと期待していたら見事に外されました。
90年代の作品にしては、学生たちのやりとりがあまりに古臭いというか芝居掛かっているのはご愛嬌。興醒めするほどではありませんでした。
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2007年08月19日

西澤保彦『解体諸因』(講談社/講談社文庫)

解体諸因解体諸因
西澤 保彦
講談社 1997-12

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★★★★☆
パズル的な趣向を凝らした死体解体モノの連作短編集。
この著者のSF的な要素が入ってくる作品群を読みたかったのですが、とりあえず順番にデビュー作から読むことに。
「解体」と「謎解き」に純化した内容ですが、これはこれでありですね。
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天藤真『大誘拐』〈天藤真推理小説全集9〉(東京創元社/創元推理文庫)

大誘拐大誘拐
天藤 真
東京創元社 2000-07

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★★★★☆
大傑作とまでは感じませんでしたが、ユーモア性の高いその文体・内容は良かったです。
安心して読める/人に薦められる作品ですね。
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2007年07月27日

貴志祐介『青の炎』(角川書店/角川文庫)

青の炎青の炎
貴志 祐介
角川書店 2002-10

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★★★★☆
評判良いので読んでみたらなかなか面白い倒叙作品。
鎌倉の街並みが綺麗に映像化されているらしいので、今度は映画も見てみます。
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エラリイ・クイーン『Xの悲劇』(早川書房/ハヤカワ文庫HM)

Xの悲劇Xの悲劇
エラリイ・クイーン 宇野 利泰
早川書房 1988-05

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★★★☆☆
初めてのクイーン作品。期待してませんでしたが意外と読めました。
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2007年07月11日

有川浩『塩の街』(メディアワークス)

塩の街塩の街
有川 浩
メディアワークス 2007-06

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★★★★☆
有川氏のデビュー作。以前電撃文庫で出たものを改稿し、その後に書かれた番外編の短編を4本加えて出されたハードカバー版。
新たに加えられた短編では登場人物達の「その後」(1つは前日譚)が色々とフォローされており、全体の半分ほども占めています。なので文庫で読んだ人にも買う価値はあり。
これで有川作品はハードカバー率100%を達成ですw
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山本弘『アイの物語』(角川書店)

アイの物語アイの物語
山本 弘
角川書店 2006-06

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★★★★★
短編集ですが、構成の妙と合わせて非常に良質な話に仕上がっています。
著者の「フィクション」に対する真摯な姿勢がなせる業か、染みわたる感動と同時に「人間」という不完全な存在についても考えさせられました。
とりあえず読んどけ。
posted by Kow at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | フィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月04日

京極夏彦『姑獲鳥の夏』(講談社/講談社文庫)

4062638878姑獲鳥の夏
京極 夏彦
講談社 1998-09

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★★★★☆
1994年に世に出た作品らしいので13年ばかり遅れましたが(汗)、ようやく京極作品1作目を読了。
個人的にはトリックだの事件だのよりも物語の前半、関口君に対する京極堂の「語り」に惹かれました。そこがこの作品のキモだという僕の認識は間違ってるのでしょうか。

だいたいこの世に面白くない本などはない。どんな本でも面白いのだ。だから読んだことがない本は大抵面白いが、一度読んだ本はそれより少し面白がるのに手間がかかるという、ただそれだけのことだ。(p.15)
うーん、けだし名言です。
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2007年05月06日

川口士『ステレオタイプ・パワープレイ』(スクウェア・エニックス/スクウェア・エニックス・ノベルズ)

ステレオタイプ・パワープレイステレオタイプ・パワープレイ
川口 士 ぴと
スクウェア・エニックス 2007-03-27

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★★★☆☆
第3回スクウェア・エニックス小説大賞入選受賞作。
小学生の時に異世界で魔族を撃退し、中学生の時に銀河に散る宇宙海賊を殲滅し、去年は死の商人の秘密組織を壊滅させた高校生、石川涼。
そんな過去を持つ彼の日常に、1人の転入生が登場したのが全てのきっかけだった。
同時多発的に発生した3つの世界の危機と、それを救ってほしいと訴える4人の少女。非日常と化した妹と母親の現実。つきまとう幼馴染(♀)。
その全てを背負い、涼が「日常を取り戻す」ための戦いが始まった。

雑誌上での受賞発表を読んだ時に気になった作品で、発売後すぐに書店に並んでいたのを見かけて買ってしまいました。なんとなくイラストに惹かれてしまった感もありますが、まぁラノベならそれもあり。
珍しく積まずにすぐに読了(なのにBlogに上げるのがこんなに遅れた……)。さすがに読みづらくはなかったです。
タイトル通り、これでもかというくらいステレオタイプのキャラ、シチュエーション、ガジェット、背景設定などが披露されます。
普通は2つや3つなのでしょうが、それが5つや6つも出てくるのがこの作品の面白いところですね。もちろんそれぞれが絡み合っていて、最後まで繋がっているのですが。
そのせいなのか、主人公の存在感が薄くなっています。合わせたように主人公の造形も低体温な感じなので、これはおそらく意図的なのでしょう。
「普通のものを組み合わせて、ちょっと普通ではないものを」という狙いはイイのですが、いまひとつ成功しきれていないのが残念でした。
帯の惹句に「やりすぎたら、型破り!!」とありますが、もっと型を破ってほしかったかな。

ちなみに発売日が重なったガンガンWING(2007年5月号)には「書籍発売記念・特別ダイジェストプレビューコミック」と銘打たれた、イラスト担当ぴと氏による8Pの予告編的マンガが掲載されました。
posted by Kow at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | フィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする