★★★★☆
地震、台風などと同じく自然災害の一種として“怪獣災害”が存在する現代。有数の怪獣大国である日本では、怪獣対策のスペシャリスト集団「気象庁特異生物対策部」、略して「気特対」が日夜を問わず日本の防衛に駆け回っていた。
多種多様な怪獣たちの出現予測に正体の特定、そして自衛隊と連携するべく直接現場で作戦行動を執る。世論の非難を浴びることも度々で、誰かがやらなければならないこととはいえ、苛酷で割に合わない任務だ。それぞれの職能を活かして、相次ぐ難局に立ち向かう気特対部員たちの活躍を描く、本格SF+怪獣小説!
(カバー見返し紹介文より)
期待して読んだ山本氏の新作(でも出てから半年積んでました……)。
ちなみにタイトルの「MM」は「モンスター・マグニチュード」の略で、怪獣の規模を表す単位。怪獣小説というものがほとんど見られない現状を鑑みれば、クオリティは充分高いので星5つでもイイ気がします。
毎度のことながら、一見バカバカしいことを真面目に考察し、エンタテインメント作品に仕上げてくるというこの著者の才能は素晴らしいです。
そして今作に出てくる架空理論は「多重人間原理」。これも毎度のことですが、こういう土台をしっかり作ったうえで大法螺を吹いてくれる所がたまりません。
個人的には期待値以上のカタルシスが得られなかったのは残念ですが、それでも楽しく読めました。
ところで著者本人のサイトにある
内容紹介に、こんな記述がありました。
僕らより下の世代、80〜90年代あたりに子供時代を送った世代と話していて驚いたのは、彼らにはそもそも『ウルトラ』シリーズや怪獣ものに対する思い入れがまったくない、ということだ。実物を見たことがなく、怪獣やウルトラマンに関する知識は『空想科学読本』のみだったりするわけで(笑)、「怪獣=バカバカしい」というイメージをすりこまれているようなのだ。
まさに自分はこの時代に少年期を過ごした世代です。
特撮オタではありませんが、一応ウルトラマンシリーズは(『マン』〜『タロウ』あたりまで)多少ビデオで見ていたし、平成ゴジラシリーズも見ていたので「『ウルトラ』シリーズや怪獣ものに対する思い入れがまったくない」わけではないのですが、同年代の友人らと特撮について話すと、僕らの世代が圧倒的に「知らない」ことを実感します。怪獣特撮モノ直撃世代との断絶は大きいですね。
怪獣なんてバカバカしい? だったら巨大ロボットだって超能力だってタイムスリップだって日本沈没だってバカバカしいだろう!? バカな設定を真剣に書くからこそ面白いのではないか?
この意見には喝采を送りたいです。まさにこれこそがSFの醍醐味ですから。